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運送業界はなぜ人手不足なのか?問題点や解決策を紹介

公開日: 2024/08/30

運送業界はなぜ人手不足なのか?問題点や解決策を紹介

運送業の人手不足は、運送業界だけの問題ではなく、社会全体での解決が求められています。人手不足の背景にある要因は、ドライバーの高齢化や労働条件の厳しさ、需要の増加など、さまざまです。

 

この記事では、ドライバーの人手が不足している理由と、その解決策などについて解説します。

 

この記事でわかること
運送ドライバーの人手不足が常態化している理由
ドライバーを増やすための解決策
ドライバー不足の根本的な問題

 

ドライバーの人手不足が常態化している理由

運送業界におけるドライバーの人手不足は、単一の要因ではなく、複数の要因によって生じている複雑な問題です。代表的な要因としては、以下の5つが挙げられます。

 

  • ドライバーという職業を選択する人自体が減っている
  • 高齢化により定年退職者が多く既存ドライバーの数が減っている
  • 男社会というイメージの強さから女性が踏み込みにくく間口を広げにくい
  • 荷物の増加でドライバーの需要が一層増している
  • ドライバーの労働時間が制限され今までのような長時間労働ができなくなった

 

それぞれ見ていきましょう。

 

ドライバーという職業を選択する人自体が減っている

近年は、ドライバーという職業を選択する人が減少しています。その背景としては、労働条件や資格取得の難易度が上がったことなどが挙げられます。

 

労働時間が長く給料が低い

ドライバーの労働環境は、他の業界と比較して厳しい状況にあります。令和5年賃金構造基本統計調査によると、ドライバーの時間外労働は全産業と比較して年間180~276時間も長く、平均年収は全産業と比べて22~69万円低い結果となりました。

 

長時間労働で低賃金という労働条件は、ワークライフバランスを重視する現代の労働観と乖離しており、人材獲得を妨げる大きな要因となっています。

 

また、このような労働環境は、既存のドライバーであっても疲労の蓄積や健康上の問題を引き起こす可能性があり、長期的なキャリアの障害にもなります。

 

■時間外労働

全産業 144時間(1ヶ月あたり12時間)
ドライバー 大型 :420時間(1ヶ月あたり27時間) 大型を除く:324時間(1ヶ月あたり12時間)

 

■平均年収

全産業 約507万円
ドライバー 大型 :約485万円 大型を除く:約438万円

 

運転免許制度の改正でドライバーになるハードルが上がった

改正前は、普通自動車免許でも最大積載量3トン未満のトラック(小型トラック)の運転が可能でしたが、改正後は最大積載量2トン未満に制限されました。そのため、2トン以上のトラックを運転するには、準中型免許以上の取得が必要です。

 

この改正は、安全運転の促進を目的とするものでしたが、同時にドライバー不足をより深刻にしました。資格取得のハードルが高くなったことで、とくに若年層がドライバーとしてキャリアをスタートさせる際の障壁となっています

 

高齢化により定年退職者が多く既存ドライバーの数が減っている

ドライバーの高齢化は、人手不足の深刻な要因の一つです。日本では少子高齢化が進行していますが、これは運送業界にも大きな影響を与えています。

 

高齢化に伴い、多くのドライバーが定年退職を迎える一方で、新たな労働力の獲得が追いつかない状況になっています。2023年の労働力調査によると、道路貨物運送業の年齢構成は全職種の平均と比較して、15~39歳までの若年層・中年層は少なく、40~64歳までの中年層・高年層は多い結果となりました

 

この年齢構成の偏りは、近い将来さらに多くのドライバーが退職することを示唆しており、新規採用だけでは補いきれない人材の損失が予想されます。また、ベテランドライバーの退職は、単に人数の減少だけでなく、長年培った経験やスキルの喪失にもつながり、業界全体の生産性にも影響を与える可能性があります。

高齢化により定年退職者が多く既存ドライバーの数が減っている

 

年齢 全産業の年齢構成(万人) 道路貨物運送業年齢構成(万人)
合計雇用人数 6,076万人 190万
15~19歳 1.79%(109万人) 0.53%(1万人)
20~24歳 7.25%(440万人) 3.68%(7万人)
25~29歳 8.97%(545万人) 6.32%(12万人)
30~34歳 8.61%(523万人) 5.79%(11万人)
35~39歳 9.35%(568万人) 8.42%(16万人)
40~44歳 10.37%(630万人) 15.26%(29万人)
45~49歳 12.25%(744万人) 15.26%(29万人)
50~54歳 12.44%(756万人) 17.37%(33万人)
55~59歳 10.24%(622万人) 13.16% (25万人)
60~64歳 8.07%(490万人) 9.47%(18万人)
65歳以上 10.67%(648万人) 9.47%(18万人)

出典元:労働力調査|政府統計総合窓口

※四捨五入による調整により、それぞれの人数をあわせても100%にはなりません。

 

男社会というイメージの強さから女性が踏み込みにくく間口を広げにくい

これまで40歳以上の日本人男性が中心だった運送業界ですが、人手不足を受け、今後は女性や外国人といった新たな層のドライバーを獲得していく必要があります。

 

しかし、運送業はもともと男社会というイメージが強く、女性から敬遠されがちで間口が広がりにくい状況です。この背景には以下のような理由があります。

 

体力的な負担の大きさ:長時間の運転や荷物の積み下ろしなど、体力を要する作業が多い
労働時間の長さ:早朝や深夜、長時間労働が求められることが多く、家庭との両立が難しい
職場環境:男性が多い職場環境であることが一般的なため、働きにくいと感じる

 

2023年の労働力調査によると、ドライバーは全職種の平均と比較し、男性の割合が大きいことがわかります。全職種では男性が約54%、女性が約46%程度であるのに対し、ドライバー職では男性が80%近くを占めており、女性は20%程度となっています。

 

  男女合計 男性(万人) 女性(万人)
全産業 6,076万人 54.02%(3,282万人 45.97%(2,793万人)
道路貨物運送業年齢構成 190万人 78.95%(150万人) 20.52%(39万人)

出典元:労働力調査|政府統計総合窓口

※四捨五入による調整により、男女の人数をあわせても100%にはなりません。

 

このような問題に対して国は、女性ドライバーが働きやすい環境の整備を後押しするとともに、女性に対してドライバーという職業の魅力をアピールするキャンペーンを行うなどの取り組みを行っています。

 

>>トラガール推進プロジェクト

 

荷物の増加でドライバーの需要が一層増している

近年、インターネットの普及によるEC市場の拡大やコロナ禍での自粛により宅配需要が高まり、宅配個数が増加しています。ドライバー不足はそれ以前から問題視されていましたが、こうした宅配需要の拡大により深刻化が進んでいる状況です。

 

国土交通省が行った「令和4年度 宅配便等取扱個数の調査」によると、1989年(平成元年)の取り扱い宅配個数は、10億2,900万個でした。しかし、その後は増加が続き、2022年には40億9,250万個と過去最多を記録しています。

 

宅配需要の増加は今後も続き、それに伴ってドライバーの需要もさらに高まる見込みです。にもかかわらず、ドライバーの供給は追いついていないため、今後も人手不足が深刻になることが予想されます。

 

ドライバーの労働時間が制限され今までのような長時間労働ができなくなった

働き方改革の関連法による時間外労働の上限規制や、改善基準告示による拘束時間等の規制によって、物流業界では2024年問題と呼ばれるさまざまな問題が生じています。

 

具体的には、労働時間が短くなることでドライバーひとりあたりの走行距離が短くなり、運べる荷物の量が減少することで、運送会社の売上・利益が減少してしまうことなどです。そのため、輸送力を維持・増加させるには、これまで以上にドライバーの数を増やして対応しなければなりません

 

また、時間外労働の規制によって働ける時間が制限されたことで、ドライバーの給料も減少しました。ドライバーの中には残業を前提に働いている人も少なくないため、待遇に不満が出れば転職する可能性も高くなります。これにより、既存のドライバーの流出も発生し、人手不足のさらなる悪化につながります。

 

>>2024年問題とは何かをわかりやすく解説!物流業界への影響と解決策

 

ドライバー不足の解決策

続いて、ドライバー不足を解消するための具体的な改善策として、以下の3点を紹介します。

 

  • 労働環境を改善して人が入ってきやすく辞めにくい環境を作る
  • 業務効率化でドライバーひとりあたりの生産性を高める
  • 業務委託・配送マッチングサービスを利用して足りない人手を補う

 

順番に見ていきましょう。

 

労働環境を改善して人が入ってきやすく辞めにくい環境を作る

ドライバー不足を解消するためには、賃金の引き上げや教育体制の整備、長時間労働の是正といった労働環境の改善が必要です。これらの取り組みにより、新人が入ってきやすく、既存のドライバーも辞めにくい環境に近づきます。

 

また、女性ドライバーを増やすためには、負担の少ない地場運行や育休制度、女性用トイレの導入といった施策が必要です。

 

長時間労働というイメージの払拭や法令遵守のためには、勤怠管理の厳格化が求められます。例えば、従来の紙ベースの勤怠管理は記入や計算に時間がかかり、人為的なミスのリスクもありますが、勤怠管理システムを導入することで、より正確で効率的な労働時間の管理が可能です。

 

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業務効率化でドライバーひとりあたりの生産性を高める

労働環境の改善と並行して、業務効率化も不可欠です。ドライバーひとりあたりの生産性を向上させることで、人手不足を補うことができます。また、業務効率化はドライバーの負担軽減にもつながるため、在籍ドライバーの定着や新人ドライバーの獲得にも有効です。

 

具体的な対応として、在庫拠点を増やすことや、手積みからパレット輸送に切り替えることなどが挙げられます。また、手書きの日報作成から自動作成システムを導入することで、ドライバーの労働時間と負担を軽減できます。

 

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また、業務と配車の一元管理を可能にし、効率的な配車計画の策定も支援します。これにより、少ない人材でも業務を円滑に進められ、ドライバーの労働時間の最適化が実現します。

 

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業務委託・配送マッチングサービスを利用して足りない人手を補う

自社のドライバーだけで対応できない場合や、採用活動がうまくいかない場合は、外部のドライバーに依頼することも一案です。その際は、配送マッチングサービスを利用すると、条件に合ったドライバーを見つけやすくなります

 

配送マッチングサービスとは、荷主とドライバーをオンラインでつなぐプラットフォームです。このサービスを利用することで、緊急で配送をしたい場合でも、空いているドライバーに配送を依頼することができます。

 

人手不足の解決が難しい場合は支援制度の活用も検討を

人手不足を解消するには、待遇改善や採用活動、業務の効率化が欠かせません。しかし、対策を実施するには、それなりのコストがかかります。とはいえ、燃料費や人件費の高騰や、適正運賃の収受が難しい状況にあるなか、追加でコストをかけづらいのも実情です。

 

運賃を上げることで売上・利益を増やして人手不足に対応したいところですが、運送会社と荷主のパワーバランスを考えると運賃交渉が難しいケースも珍しくありません。

 

また、さまざまな事情が絡み合い、人材不足を解消したくても手を打てない状況にある運送会社もあります。

 

そこで活用したいのが支援制度です。物流は国民生活に欠かせないライフラインなので、助成金をはじめとした支援制度が充実しています

 

これらの支援制度は、国、都道府県、自治体、各都道府県の全日本トラック協会が実施している可能性があります。具体的な支援内容や申請方法は、インターネットや各窓口にご確認ください。

 

まとめ

運送業界の人手不足の背景には、労働環境の厳しさや高齢化、需要の増加、法規制の変更など、さまざまな要因が挙げられます。

 

解決策としては、労働環境の改善や業務効率化、業務効率化ツールの導入など、多角的なアプローチが求められます。

 

TUMIXコンプラやTUMIX配車管理システムなら、少ない人材でも業務を円滑に進められ、人材不足の解消に役立ちます。自社の労働環境を見直し、人材不足の対策を進めましょう。

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