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改善基準告示の改正によりトラックドライバーの労働時間はどう変わる?

公開日: 2023/10/13

改善基準告示の改正によりトラックドライバーの労働時間はどう変わる?

■この記事でわかること
  • 改善基準告示の詳しい改正内容
  • 改善基準告示の適用開始による影響
  • 運送会社が行うべき対策

2024年4月から適用が開始される改善基準告示では、トラックドライバーなどの自動車運転者の時間外労働のみならず、拘束時間や休息時間、連続運転時間などにも制限が課せられるようになります。

 

改善基準告示とは正式には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」と言い、トラック、バス、タクシーといったドライバーの長時間・過重労働の問題を改善するための改正です。

 

運送会社は、トラックドライバーの労働時間を適正に管理するために、現行からの変更点についてしっかりと理解しておかなければいけません。

 

そこで本記事では、トラックドライバーの労働時間等の改正についてや、上限適用によって直面する課題、その課題に対して運送会社が行うべき対策を解説していきます。

 

なお、タクシーやバスの改正点については以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

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改善基準告示の改正で変わるトラックドライバーの労働時間

改善基準告示の改正で変わるトラックドライバーの労働時間

 

改善基準告示による、現行からの変更点は以下のとおりです。改正後は、拘束時間が減り休息時間が増えることになります。

 

変更点
現行
改正後
1年の拘束時間 3,516時間 3,300時間(例外:最大3,400時間)
1か月の拘束時間 293時間(例外:最大320時間) 284時間(例外:最大310時間)、284時間を超える月は連続3か月まで
1日の拘束時間 13時間を基本とし最大16時間 13時間を基本とし最大15時間(例外:16時間)
1日の休息期間 継続8時間 継続11時間を基本とし、継続9時間(例外:8時間)
連続運転時間 4時間以内 4時間以内(最大4時間30分)

 

それぞれの項目において、現行との違いを詳しく解説していきます。

 

1年の拘束時間

現行の拘束時間は1年間で3,516時間ですが、改正後は原則として3,300時間までとなり、116~216時間ほど短くなります。

 

〈現行〉
〈改正後〉3,516時間
3,300時間(例外:最大3,400時間)

 

1日の拘束時間の基本である13時間で計算すると、1年で9~17日程度働く日数が減ることになります。

 

1年の拘束時間

引用元:労働時間等の 改善基準の ポイント|厚生労働省

 

また、拘束時間とは、始業から就業までの時間のことをいいます。そのため、休憩時間がこの中に含まれていることも理解しておきましょう。拘束時間は例外として、年間3,400時間に延長することができますが、そのためには労使協定を締結しなければなりません。

 

1か月の拘束時間

1か月あたりの拘束時間は、現行で293時間、改正後は284時間と、現行よりも9~10時間短くなります。

 

〈現行〉
〈改正後〉
293時間(例外:最大320時間)
284時間(例外:最大310時間)、284時間を超える月は連続3か月まで

 

さらに改正後は、1か月の拘束時間の基本である284時間を超える回数は、連続3回までとなります。現行では1か月の拘束時間を超える回数の連続に制限はありません。

 

また、現行も改正後も、労使協定を結ぶことで1年の総拘束時間を超えない範囲であれば、1年のうち6か月は1か月の拘束時間を例外の時間に延長してもいいとされています。

1か月の拘束時間

 

1日の拘束時間

1日の拘束時間については、現行と改正後では変更ありません。

 

〈現行〉
〈改正後〉
13時間を基本とし最大16時間
13時間を基本とし最大15時間(例外:16時間)

 

現行と改正後のどちらも基本的に13時間が上限で、1日の拘束時間を超えるのは週に2回までという点も同じです。

 

改正による変更点は、最大拘束時間が1時間少なくなることと、例外が設けられることの2点です。ここでの例外とは、宿泊を伴う長距離貨物運送に限り、週に2回のみ1日の拘束時間を16時間まで延長できることを指します。

 

1日の休息期間

休息時間とは、退勤から次の出勤までの間の時間を指します。改正後は休息時間が3時間延長され、11時間の休息が基本となります。

 

〈現行〉
〈改正後〉
継続8時間
継続11時間を基本とし、継続9時間(例外:8時間)

 

また、継続9時間を下回ることも禁止されています。万が一下回る場合は、1運行が終了したあと継続12時間以上の休息期間を確保しなければなりません。

 

さらに例外として、宿泊を伴う長距離貨物運送に限り、1週間のうちに2回のみ1日の休息期間を8時間以上とすることができます。

 

連続運転時間

連続運転時間は現行と変わらず、4時間以内と規定されています。しかし、改正後は例外が設けられ、休憩の取り方も変わります

 

内容が少し複雑なため、例外と休息の取り方については以下の章で詳しく解説します。

 

連続運転時間の例外の追加

基本は現行も改正後も、連続運転時間の上限は4時間以内です。ただし、改正後は例外として、最大4時間30分の上限が追加されます。

 

〈現行〉
〈改正後〉
4時間以内
4時間以内(最大4時間30分)

 

これは、サービスエリアやコンビニエンスストアなどの駐車場が満車でトラックを駐車できず、別の場所へ移動するといったやむを得ない状況に限って認められます。なお、駐車場の種類には、高速道路のパーキングエリアやガソリンスタンド、道の駅などの場所も含まれます。

休憩の取り方

今までは連続運転時間の上限を走行した場合、合計30分以上の休憩時間を含む非運転時間を確保しなければいけませんでしたが、新改善基準告示においては、これが原則休憩である必要があるため、運行においては注意が必要です。

 

また、分割の方法の仕方が変わります。

 

〈現行〉
〈改正後〉
少なくとも10分以上の休憩を3回に分割して合計30分は可能
10分未満の休憩を含めるのは可能だが、3回連続してはいけない

 

現行は少なくとも10分以上と決められていましたが、改正後は10分未満の休憩も可能です。ただし、10分未満の休憩は3回以上連続してはいけません。

 

例を挙げると、下記のような休憩の取り方が認められるようになります。

 

休憩の取り方

 

改善基準告示の改正に対してトラック運送会社がとるべき対策

改善基準告示によって、トラック運送会社には下記のような課題に直面することが予想されています。

  • ドライバーの不足
  • 会社の売上・利益の減少
  • 勤怠管理の正確性が問われようになる

これらの課題に対処するためには、適切に対策を取る必要があります。

 

詳しい対策方法は以下で解説します。

 

なお、改善基準告示自体は法律ではないため、違反した場合に罰則はありません。しかし違反した場合は、法に問われないからといってルールに従わなければ、会社が労働基準監督署から指導を受けることになります。

 

労働条件・労働環境の改善

改善基準告示によりトラックドライバーの労働時間が制限されることで、これまで残業代の割合が大きかったドライバーの収入が減少し、離職の原因になるのではないかと懸念されています。離職を防ぐためには、労働条件・労働環境の改善が必要です。

 

すでにドライバー不足は深刻な問題となっていますが、改正後はさらなる不足が予想されています。 令和4年賃金構造基本統計調査によると、トラックドライバーの年間所得額は全産業の平均よりも19~59万程度低いという結果が出ています。これまで以上に収入が減るとなれば、トラックドライバーの離職は免れられません。

 

トラック輸送会社が安定した会社経営を行うには、ドライバーの存在が必要不可欠です。そのため、給与形態や福利厚生を改めて見直しましょう。また、女性や高齢者でも働きやすい環境を作っていくことも重要です。

 

輸配送手段の見直し

トラックドライバーの労働時間が制限されることで、走行距離も必然的に短くなります。現在の体制のまま走行距離が減れば、運べる荷物の量も少なくなり、安定的な物流の確保が困難になるでしょう。

 

走行距離が短くなっても、安定的な物流を確保するためには、輸送をより効率的におこなう必要があります。効率化の方法としては、船や鉄道を効果的に利用するモーダルシフトへの移行や、適切なシステムの活用などが挙げられます。

 

以下の記事では、現行と改正後でどのくらい走行距離が変わるのかをシミュレーションしています。

 

デジタルツールの導入

労働時間の規制に伴い、より厳格な勤怠管理が不可欠となります。正確かつ効率的な勤怠管理を行うには、デジタルツールの導入が欠かせません。

 

デジタルツールを活用すれば、拘束時間や休息期間、連続運転時間などの情報を集計し、違反箇所の特定や有無の確認をする時間などを大幅に減らし、コスト削減にもつながります。

 

いくつかあるデジタルツールのなかでも、特におすすめしているのが「TUMIX」です。

 

TUMIXは、勤怠管理・配車管理ができる運送業専用のクラウドシステムで、多くの企業で導入実績があります。月240時間以上の業務時間の削減に成功した会社もあり、運送会社が抱える問題を解決するのに有効なツールです。

 

シンプルな使い心地でサポート体制もしっかり整っています。初めて導入する方でも手軽に使えるので、詳しくは以下の商品ページをチェックしてみてください。

 

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また、労働基準法と改善基準告示が適用される2024年4月以降に物流業界で生じる諸問題を「2024年問題」といいます。「2024年問題」については以下の記事でわかりやすく解説しています。

 

 

改善基準告示の改正によるトラックドライバーの労働時間まとめ

2024年4月から適用が開始される改善基準告示によって、物流業界に大きな影響をもたらします。

 

1年・1か月単位の拘束時間が短くなり、1日の休息時間は長くなります。また、連続運転時間については例外が追加され、休憩の取り方も変わります。

 

改正による影響へは、労働条件の改善・輸送手段の見直し・デジタルツールの導入といった対策を取る必要があります。

 

TUMIXについては、ご依頼やご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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