公開日: 2023/09/22
デジタコとは|種類や特徴、導入するメリット・デメリットを詳しく解説
- デジタルタコグラフの概要
- デジタコを導入するメリットとデメリット
- 導入コストや使い方などの基礎知識
デジタコはデジタルタコグラフの略称であり、その名のとおりデジタル式のタコグラフのことを言います。デジタコを導入することで、交通事故の削減や業務効率化などに役に立ちます。
この記事では、デジタコの基本知識から導入するメリット・デメリット、導入の流れまで解説します。お読みいただくことで、デジタコを導入するか否かを決定できるでしょう。
デジタコの導入を検討している企業の担当者は、ぜひ最後までお読みください。
\デジタコ連携可能な運送業専用クラウド勤怠管理ツール/
デジタコとは
画像引用:富士通デジタコ公式サイト|DTS-G1D|富士通クラウドデジタコ
デジタコ(デジタルタコグラフ)とは、車両運行時の走行時間や走行距離、走行速度などをリアルタイムにデータとして記録する、デジタル式運行記録計のことです。主に交通事故削減のための安全管理、運行管理などに役立てられています。
運行記録計には、デジタコの他にアナログタコグラフ(アナタコ)があります。しかし現在は、アナタコよりも高機能なデジタコを導入する会社が多くなっています。
以下では、デジタコの種類とアナタコとの違いについて詳しく解説します。
種類
デジタコは、主に4つに分類されます。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
種類 | 特徴 |
単機能型 | 基本となる3項目(走行速度・走行距離・走行時間)を記録、シンプルな操作のものが多い |
標準型 | 基本の3項目の記録に加え、ドライブレコーダーや日報などの連動機能を搭載 |
多機能型 | 標準型の機能に加え、アルコールチェッカーなどさまざまな機器との連動が可能。クラウド式かSDカード式かを選べる機種もある |
次世代多機能型 | 多機能型の機能に加え、データをクラウドに保存できたり、ドライブレコーダーと一体になっていたりする機種が主流。そのほか、居眠り防止や車線逸脱など監視・警告システムと連動 |
単機能型はリーズナブルだけれど機能が少ない、次世代多機能型は機能性に優れているけれど初心者には操作が複雑といったように、各モデルに強み・弱みがあります。使いたい機能や価格などを総合的に比較し、自社に合ったモデルを選ぶことが大切です。
デジタコのおすすめなメーカーと商品については、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
デジタコ・アナタコの機能の違い
タコグラフがデジタル式のものをデジタコ、アナログ式のタイプをアナタコと呼びます。つまり、デジタコもアナタコも「タコグラフ(運行記録計)」であることに変わりありません。
しかし、両者にはいくつか相違点があります。機能の違いは以下のとおりです。
種類 | 特徴 | |
タコグラフデジタコ<以下の情報をデータで記録> ・走行速度 ・走行距離 ・走行時間 ・エンジン回転数 ・急加速 ・急減速 ・GPSによる位置情報 ・ボタン操作による運行管理 など |
||
---|---|---|
アナタコ | <以下の情報を円形のチャート紙に記録> ・走行速度 ・走行距離 ・走行時間 |
アナタコは、円形のチャート紙に線を描いて情報を記録します。線の動きを頼りに運行状況を読み解いていきます。
一方デジタコは、運行情報が電子データとして保存されます。機種にもよりますが、記録できるデータはアナタコよりも多い傾向にあります。
タコグラフの装着は義務付けられている
交通事故削減を目的とし、車両総重量が7トン以上または最大積載量が4トン以上の事業用自動車は、法律上タコグラフの装着が義務付けられています。違反した場合は行政処分の対象となります。
装着するタコグラフは、デジタコ、アナタコのどちらでも構いませんが、現在はより高機能なデジタコが主流となっています。また、国も運送事業者に対して、助成金などの形でデジタコの導入を後押ししています。
タコグラフの装着義務については、以下のリンクでも詳しく解説しています。
デジタコを導入するメリット・デメリット
デジタコは、アナタコよりも多くの点で優れているツールです。ここでは、アナタコと比較した際の、デジタコのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット
タコグラフの導入に際して、デジタコを選ぶメリットは以下の4つです。
- 記録できるデータの種類が多い
- 手書きでの日報作成が必要なくなる
- 改善基準告示に基づいた行運行ができるようになる
- ランニングコストの削減が期待できる
それぞれ見ていきましょう。
記録できるデータの種類が多い
デジタコの1つ目のメリットは、アナタコよりも記録できるデータの種類が多いという点です。
機種にもよりますが、デジタコは走行距離、走行時間、走行速度だけでなく、急加速・急発進、速度超過など、運転中のさまざまな情報を記録することができます。これらのデータをもとにドライバーの運転の癖を解析し、指導に役立てることも可能です。
また、ボタン操作でドライバーのステータス管理を行うことができるため日報の出力、改善基準告示の確認等を簡単に行うことができるようになります。 より厳格な管理を求められる24年の「新・改善基準告示」の施行もあり、現在導入を検討する運送会社が増えています。
手書きでの日報作成が必要なくなる
デジタコは運行情報がデータとして記録されるため、日報を手書きで作成する必要がありません。手書きの場合、長距離運行や積卸の多い運行があった際等に、記載する情報量の多さから、入力や確認の工程でどうしても時間が掛かることがあります。デジタコの導入によりこういった工程を自動化することができるので、ドライバーの労働時間の短縮が期待できます。
また、日報の作成時にはデジタコに記録されたデータを自動的に読み取ってくれるので、ヒューマンエラーの心配もありません。デジタコを活用すれば、スピーディかつ正確な日報作成が可能です。
国土交通省も、運転日報は書面に代えて電子データで作成・保存することを認めています。
改善基準告示に基づいた運行ができるようになる
2024年4月から適用が開始される「新・改善基準告示」によって、運送会社はドライバーの労働時間などを正確に把握し、上限のもと運行するように指導・管理する必要があります。 デジタコを導入することで、より正確な運行データを記録できるため、改善基準告示に基づいて運行することが可能です。
また、改善基準告示に基づいた項目をリスト化してくれるシステムもあり、デジタコと連携することでより厳格な管理が可能となります。運行結果を可視化すれば、改善基準告示への対策を強化することにつながるでしょう。
改善基準告示の詳しい内容については、以下の記事で解説しています。
ランニングコストの削減が期待できる
デジタコは、導入コストだけを見ればアナタコよりも高額な傾向にあります。しかし、長期的に見ればデジタコのほうがコスト削減を期待できるでしょう。例えば、燃料の節約や事故の減少による保険料の削減、日報作成に充てる労働時間などが挙げられます。
デジタコは急加速やアイドリングストップなどのデータも記録できるため、燃費を悪くする行為の見直しに役立ちます。また、運転意識向上により交通事故が減り、保険料が安く済む点もメリットです。
さらに、上述したように日報作成が自動化されるため、人件費の削減にもつながります。
デメリット
続いて、デジタコのデメリットを紹介します。メリットだけではなく、デメリットも把握したうえで導入を検討しましょう。
ドライバーに心理的ストレスを与える可能性がある
デジタコは、運行中の情報が正確に記録されるため、「監視されている」と感じてしまい、心理的ストレスの一因になる可能性があります。
デジタコを導入する際は、導入する目的や記録される情報をドライバーにきちんと説明するようにしましょう。また、業務中の位置情報などは個人情報に該当する場合もあるため、取り扱いには十分注意しなければなりません。
ドライバーが精神的なストレスを感じていないか、定期的に話し合う機会を作ることも大切です。
データが紛失する恐れがある
SDカード式の場合、誤ってデータを消去したり、何らかの不具合でデータが破損したりする可能性がゼロではありません。デジタコで記録したデータには個人情報も入っているため、万が一漏洩した場合には会社が責任を負うことになります。
また、SDカードの定期的な初期化を行わないと、SDカード自体の破損や障害が発生する可能性もあります。十分なカード容量の確保の意味も含め、月に1回程度は初期化を実行するなど、メンテナンスを欠かさないようにしてください。また、頻繁にバックアップを取っておくことも大切です。データを安全に管理するためには、クラウド式への交換・導入を検討するのも良いでしょう。
デジタコの導入についての基礎知識
実際にデジタコを導入するにあたり、押さえておきたいポイントがいくつかあります。以下の3点についてはしっかり把握しておきましょう。
- 本体価格・導入コスト
- 導入の流れ
- 使い方
本体の価格・導入コスト
デジタコの本体価格は、基本の3項目(走行速度・走行距離・走行時間)のみを記録するタイプで5万円前後、高機能のもので30万円前後が相場です。アナタコと比較すると2倍近くの費用相場となります。
また、本体のコストだけでなく、ランニングコストがかかるタイプもあります。例えば、クラウドの使用料として車両1台につき月額1,000~3,000円程度の利用料がかかるものや、デジタコとの連携でパソコン1台につきソフト代で数十万円かかるもの、といった場合です。
つまり、車両を多く所持する会社では、数十万~数百万のコストがかかることになります。
ただし、デジタコの導入には補助金制度を活用できることもあります。適用条件や補助金額については、住んでいる自治体によって異なるので、詳細は市のホームページなどで確認してみてください。
また、デジタコの価格や補助金の詳しい情報は以下のリンクでも紹介しています。
導入の流れ
デジタコを導入する手順は以下のとおりです。
- デジタコを取り扱っている会社に問い合わせ
電話や公式サイトのお問い合わせフォームから連絡します。複数の会社に問い合わせるのがおすすめです。 - 打ち合わせ
最適な機種を見つけるためにも業務内容・欲しい機能・予算などを詳しく伝えましょう。 - 契約
契約を交わしたら契約内容に相違がないか、契約書をきちんと確認しておきましょう。 - 取付け
取付け時に使用方法や注意事項などを説明してもらい、不明点があれば聞いておきましょう。 - アフターフォロー
導入後に何か不具合が生じた場合は、メーカーのサポートセンターに問い合わせて解決してもらいましょう。契約の時点で、アフターフォローがきちんと整っているかどうかを確認しておくと安心です。
使い方
デジタコの使い方はそれほど複雑ではありません。機種にもよりますが、多くの場合、初めての方でも安心して利用できるでしょう。
クラウド式とSDカード式では使用方法がそれぞれ異なります。
- クラウド式
SDカードは不要で、作業状況や道路状況に応じて「出庫」「高速」「待機」「休憩」などのボタン操作だけでデータが蓄積される仕組みです。データはすぐに更新され続けるため、運行管理者はリアルタイムに運行状況を確認できます。 - SDカード式
運行開始時にSDカードを挿入し、運行中はクラウド式と同様にボタン操作でデータを記録していきます。運行終了後はSDカードを事業所の管理者に提出するだけです。ただし、データはカード上に保存されるため、リアルタイムでの確認はできません。
デジタコの詳しい使い方については、以下の記事も併せてチェックしてみてください。
デジタコの基礎知識まとめ
デジタコは、アナタコに比べて記録できるデータの種類が多く、機能性・利便性の高いタコグラフです。導入することで、業務の効率化や法令順守への対応に役立ちます。
ただし、運送業界では2024年4月以降、年960時間の時間外労働の上限規制が適用されます。これに対応するには、より厳重な勤怠管理が求められ、デジタコでできる以上の管理が求められます。
そのため、デジタコと連携可能な勤怠ツールを導入すると良いでしょう。おすすめなのが、運送業専用の勤怠管理・配車管理ツール「TUMIX」です。デジタコデータと連携が可能で、リアルタイムで勤怠や改善基準告示の遵守状況を確認することができます。導入実績が豊富で、アフターフォロー体制も整っているため、初めてデジタコを導入する会社でも安心して利用できます。
TUMIXについて詳しく知りたい方や、デジタコ導入を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
\運送業専用の勤怠管理・配車管理ツール/