公開日: 2025/02/25
運行管理システムとは?基本機能や導入メリットを徹底解説
車両の運行状況を適切に把握する運行管理業務は、安全かつ効率的な運行を実現するために欠かせません。
運行管理システムを導入すれば、業務をデジタル化して業務効率アップやコスト削減、安全運転の促進など、さまざまなメリットをもたらします。
本記事では運行管理システムの基本的な機能や導入によるメリット、選定のポイントなどを詳しく説明します。運行管理システムの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
・運行管理システムを導入するメリット
・運行管理システムを導入する際のポイント
運行管理システムとは
運行管理システムとは、車両の運行状況を把握してそれに基づくマネジメントを可能にするシステムです。一般的には、車両のデバイスと管理者側のデバイスをクラウドで連携させる方式が採用されています。
この方式では車両の運行状況がクラウド上に記録され、そのデータを管理側のパソコン等で確認することができます。運行管理者の業務効率化や、ドライバーの労働環境の整備を目的に導入されるケースが多いです。
車両側のデバイスは、以下のように搭載できます。
- 専用アプリをインストールしたスマートフォンを車両に搭載
- 通信型ドライブレコーダーを設置/既存の通信型ドライブレコーダーと連携
- 専用の機器をシガーソケットに挿す
運行管理システムに搭載されている機能
運行管理システムに搭載されている機能は、製品によってさまざまです。ここでは、一般的に搭載されている5つの機能を紹介します。
- 動態管理機能
- 日報作成機能
- 安全運転管理機能
- 分析・レポート機能
- ドライバー・車両登録機能
動態管理機能
動態管理機能は、車両がどこを走行しているか、どのように走ってきたかを確認できる機能です。この機能があると、以下のようなことが可能になります。
- 走行履歴や現在地から目的地への到着時刻予想
- 渋滞時の迂回ルート案内
- トラブル発生時に近くの車両発見・対応
日報作成機能
日報作成機能は、走行履歴をもとに日報作成をサポートする、あるいは自動作成を行う機能です。
日報作成を簡単にするタイプは、車両に搭載したデバイスから走行距離や時間などの情報をもとに、日報のひな形を作成します。ドライバーは必要事項を入力して、管理者に提出する流れです。
自動作成されるタイプは、ドライバーが業務ごとにスマートフォンやタブレットの専用アプリから「荷待ち」「休憩」といったステータスを登録することで、日報に自動で反映されます。反映された内容を確認して、管理者に提出するだけで完了です。
安全運転管理機能
安全運転管理機能は、運転手の運転挙動をモニタリングし、安全性の向上を目指す機能です。急発進や急ブレーキ、アクセルの操作、長時間のアイドリングなど、運転の無駄や危険な動きを記録します。
ドライブレコーダータイプの場合、危険運転を察知するとクラウド上に動画がアップロードされるシステムもあります。こうした情報が集められることで、データに基づく指導が可能になる仕組みです。
分析・レポート機能
分析・レポート機能は、運行管理システムに蓄積されたデータを自動的に分析し、見やすいレポートとして出力する機能です。
例えば、車両別に各ドライバーの稼働状況を一覧化することにより、待機時間や付帯業務時間など、業務ごとの時間配分を把握できます。
ドライバー・車両登録機能
ドライバーや車両に関する情報をシステム上で一元管理できる機能です。主に以下の情報を管理します。
- ドライバーに関する情報:
氏名や連絡先などの基本情報、健康診断結果や免許の更新期など
- 車両に関する情報:
保険内容、車検の有効期間、リース会社の情報など
運行管理システムを導入するメリット
運行管理システムを導入することで、さまざまなメリットが期待できます。ここでは、以下のような具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
- 業務効率化
- コストカット
- 安全運転につながる
- 顧客満足度の向上
業務効率化
運行データの自動記録やレポート作成機能により、運行管理者が手作業で行っていた記録作業の負担が大幅に軽減されます。ドライバーにとっては日報作成の手間を省けるほか、ルートの最適化が実現すれば効率的な運行が可能です。
また、システムによって運行状況がリアルタイムで把握できるため、運行管理者からの現在地確認の電話が不要になります。ドライバーは運転に専念でき、管理者側も手間を減らせます。
コストカット
運行管理システムの導入は、多方面でのコスト削減につながります。安全運転管理機能の活用によりドライバーの運転行動を改善し、交通事故を減らすことで保険料の低減が期待できます。
また、走行ルートの分析による最適化は、無駄な走行の削減、燃料費の節約にも効果的です。アクセル操作や急ブレーキ、長時間のアイドリングなどの改善も燃料費の軽減に寄与します。
さらに、車両のメンテナンス情報を一元管理することで、定期的な点検を徹底し、修理費や故障による損失を最小限に抑えることも可能です。
安全運転につながる
運行管理システムの安全運転管理機能を活用することで、ドライバーの運転状況を記録・分析し、適切なフィードバックを提供できます。
ドライバーは自身の運転を客観的に見直す機会を得られるので、安全意識の向上につながるでしょう。「運転が記録されている」という意識が働き、自然と安全運転を心がける行動が促されます。
また、ドライバーの稼働状況をもとに無理のない運行ルートやスケジュールを決められるので、過労運転による事故のリスクも減らせます。
顧客満足度の向上
走行履歴や現在地の情報から到着までの時間を予測できるため、顧客にあらかじめ到着予定時刻を伝えられます。「いつ来るのか」という顧客側の不安を取り除くことができるでしょう。
到着時間が指定されている場合には、予定通りの運行が行われているか確認でき、必要に応じて迅速な対応が可能です。顧客から問い合わせを受けた際もドライバーに直接確認する必要がなく、現在地のデータなどから最新情報をすぐに届けられます。
こうした細やかな対応で、自社に対する信頼感と顧客満足度の向上が期待できるはずです。
運行管理システムを導入する際のポイント
運行管理システムの導入時は、いくつかの点に注意しなければいけません。スムーズに運用を始められるよう、導入前にしっかりと確認しておきましょう。
自社に適したシステムを選ぶ
運行管理システムを導入する際は、業界や導入目的に合ったシステムを選びましょう。運行管理システムは運送業向けだけでなく、タクシーやバス業界向けのシステムも存在しており、それぞれに特化した機能があるためです。
自社の導入目的を明確にして、必要な機能を精査したうえで選定を行うと、コスト削減や業務効率化が実現できます。
システムの機能性やコストは、どのシステムを選ぶかに加えてパッケージ型、カスタマイズ型、特化型などの種類によっても変動します。
運行管理システムの種類 | 特徴 |
パッケージ型 |
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カスタマイズ型 |
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特化型 |
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操作しやすいシステムを選ぶ
ドライバーや管理者がストレスなく活用できるように、シンプルで直感的に操作できるシステムを選ぶのがおすすめです。操作性に優れたシステムは、導入後のトレーニング時間の削減・負担軽減にもつながります。
画面の見やすさ、入力項目の少なさなど、実際に使う人の目線で選びましょう。無料トライアルを活用して、実際に使用感を確かめることで導入後の齟齬(そご)を減らせます。
社内環境を整備する
これまでアナログだった業務をデジタルに移行するには、システムの操作に詳しい担当者を配置する必要があります。新しいシステムをスムーズに活用できるよう、研修や教育の実施も検討しましょう。
社内に精通した人がいない場合は、サポート体制が整った運行管理システムの選定がおすすめです。サービスを選ぶ際は、導入から運用開始までのサポートにも注目してください。
業務フローの見直しが必要な場合もあるため、導入前に業務の流れを整理して、システム導入後の運用が円滑に進むように整備を行いましょう。
導入の目的をドライバーに説明する
リアルタイムでの動態管理は、常に監視されているように感じてストレスになるドライバーもいます。
システムの導入目的や活用イメージを丁寧に説明し、ドライバー自身の労働環境改善や安全運転につながることを理解してもらえるようにしましょう。
まとめ
運行管理システムは、車両の運行状況を把握し、効率的な運行管理を実現するためのシステムです。動態管理、日報作成、安全運転管理、分析・レポートなど、さまざまな機能を搭載しているのが基本です。導入により業務効率化やコスト削減、安全運転の促進、顧客満足度の向上といったメリットが期待できます。
導入する際は、自社に適した機能を備えたシステムを選ぶことが重要です。操作性の高さや社内の環境整備、ドライバーへの説明なども忘れずに行いましょう。