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2024年問題への取り組みで生じた5つの課題と対策事例

公開日: 2024/07/18

2024年問題への取り組みで生じた5つの課題と対策事例

この記事でわかること

2024年問題への取り組みで生じた新たな課題と対策事例
2024年問題を機に勤怠管理の厳格化に取り組めたケース

2024年問題とは、「働き方改革関連法案」や「改善基準告示」により、物流業界において2024年4月以降に起こるとされてきたさまざまな問題の総称です。

 

働き方改革関連法案や改善基準告示自体は、かねてより問題視されていたドライバーの労働環境の改善を目的としたものです。しかしその反面、企業と労働者の双方に課題をもたらしてもいます。

 

この記事では2024年問題への取り組みによって生じた新たな問題点を整理するとともに、実際の対策事例も紹介していきます。

 

2024年問題への取り組みで生じた新たな課題と対策事例

2024年問題への対策として、運送事業者各社はこれまで、さまざまな施策に取り組んできました。それにより、改善した課題もありますが、その一方で以下のような、新たな課題も発生しています。

  • 単に人材を増やすだけでは意味がない
  • せっかく募集がきても断らざるを得ない状況に
  • 管理職の負担が増加する
  • サービス残業が暗黙の了解になる恐れがある
  • 名ばかりの管理職を生み出す恐れがある

それぞれの課題について、順番に見ていきましょう。対策事例もあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

 

単に人材を増やすだけでは意味がない

ドライバーの拘束時間を減らして会社の売上や利益の減少を補うには、これまで3人で対応していた運行を4人にしたり、人材を増やして受注量の維持や増加させたりする必要があります。

 

しかし、ドライバーは集中力や注意力、運転技術といったスキルが求められる職業で、即戦力となる人材の確保は簡単ではありません。新たな人材を増やすだけでは解決にはつながらないため、人材不足は運送業界全体の課題として取り上げられています。

 

また、新人ドライバーを採用しても、実際に業務に対応できるようになるまでには一定の訓練期間が必要です。その間は既存のドライバーが教育やサポートに時間を割かねばならず、日常業務の負担も増加するでしょう。

 

【対策事例】

  • 待遇を見直し、即戦力となる人材にも自社の求人に興味を持ってもらえるようにする。
  • 新人を育成する環境を整える

※具体例

・既存のドライバーの負担が増えないように、運行の無駄を減らし、自動化技術などを取り入れて業務の効率化を図る。

・新人ドライバーの教育やサポートをする専任の指導者を設ける。(一線を退いた、ドライバーとして経験豊かな方を再雇用する)

・マニュアルを整備して自己解決できることを増やす。(品質・効率の向上)

 

せっかく募集がきても断らざるを得ない状況に

2024年問題の対策として、時間外労働の削減を真剣に行なっている企業は多くあります。その結果、従来のような「時間外労働ありきで稼ぎたい」と希望するドライバーが求人に応募してきても、断らざるを得ないケースも発生しています。

 

そもそも「残業が多いがしっかり稼げるから」という理由でドライバーという職業を選んだ人は少なくありません。そのため「時間外労働は抑えるが、給料も少なくなる」という方針で求人をかけてもマッチングが上手くいかず、人材の確保がますます困難になってしまう場合があります。

 

【対策事例】

  • ワークライフバランスを重視する人材へのアプローチを行い、若い世代にも関心を持ってもらう。
  • 職場環境の改善など、働きやすい環境づくりに力を入れることで、新たな人材の確保と定着を図る。

 

管理職の負担が増加する

2024年問題への対策として、勤怠管理の厳格化に取り組んでいるものの、会社の売上や利益を維持するために受注量を減らせないケースは珍しくありません。

 

その結果、管理職がドライバーに代わって現場に出るという事態も起きています。こうしたギリギリの状況では、管理職の負担が増加するだけでなく、本来の業務であるマネジメントなどのコア業務に時間を割けず、会社全体のパフォーマンス低下につながる懸念もあります。

 

【対策事例】

  • 委託ドライバーを雇う。
  • 新しい人材を確保する。(地場運行を取り入れ、ワークライフバランスを重視する方に向けてアプローチする)人材の確保・育成にかかる資金面に懸念がある場合は、支援制度を活用する。

※支援制度は、「国・各都道府県・自治体・各都道府県の全日本トラック協会」が行っている場合があります。実施状況や内容、条件については、インターネットや市町村窓口などでご確認ください。

(例:全日本トラック協会による助成事業の「令和6年度若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業」では、新たに採用した若年ドライバーの運転免許の取得に対して支援を行っています。)

 

サービス残業が暗黙の了解になる恐れがある

2024年問題対策は、すべての運送事業者が取り組んでいるわけではありません。なかには、取り組みたくても資金が足りずに取り組めない、という企業もあるでしょう。

 

しかし、年960時間以内の時間外労働の規制は、法律によって定められたものです。違反をすれば「労働基準法第36条第6項違反」によって、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

 

一方、改善基準告示は法律ではなく告示であるため、違反しても罰則はありませんが、指導などの措置が講じられる可能性があります。そのため、勤怠管理を適切に行わずに働き続ける、サービス残業が横行するといった恐れもあるでしょう。

 

【対策事例】

2024年問題への対応が予算の都合で難しい場合は、支援制度の活用がおすすめ。
(例:全日本トラック協会による助成事業

※支援制度は、「国・各都道府県・自治体・各都道府県の全日本トラック協会」が行っている場合があります。実施状況や条件については、インターネットや市町村窓口などでご確認ください。

 

名ばかりの管理職を生み出す恐れがある

労働基準法では、「労働時間・休憩時間・休日・時間外労働の上限・休日の労働」などの基準を定めています。しかし、管理職にあたる「管理監督者」は、この規定の適用外です(労基法第41条)。

 

そのため、年960時間の時間外労働の上限に適用しない抜け道として、名ばかりの管理職が生まれる可能性があります

 

本来、管理職として認められるためには、業務の内容や権限が重要であることが求められます。しかし、管理職としての適切な基準を満たしていない、名ばかりの管理職が増える可能性は大きいでしょう。

 

もちろんそのような管理職は法令違反であり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。さらに、法令違反で罰せられれば悪い噂が広がり、新たな人材の確保も難しくなるでしょう。

 

【対策事例】

  • 適切な職務評価制度を整備し、管理監督者として認められる条件を厳格に見直す。
  • コンプライアンスを遵守した職場環境の整備を推進し、労働環境の透明性と適切な業務体制を確立する。

 

2024年問題を機に勤怠管理の厳格化に取り組めたケースも

ここまで、2024年問題への取り組みで生じた課題について説明してきました。しかし反対に、2024年問題をきっかけに、紙ベースの出勤簿から勤怠管理システムに乗り換えるなどで、抱えていた課題を解決できたケースもあります

 

例えば、2024年問題に対する世間的な関心が高まったことで、これまで適切に労働時間を管理できなかったり、サービス残業が横行していたりした運送事業者が、勤怠管理の厳格化に取り組み、労働環境が改善したというケースも少なくありません。

 

このように、規制強化によるポジティブな影響によって、働き方が改善された事例もあります。人材不足やドライバーの安全・健康を守りつつ、生産性を維持するためにも、自社での勤怠管理を見直してみてはいかがでしょうか。

 

運送業専用のクラウドシステム「TUMIXコンプラ」の導入によって2024年問題に取り組んだ事例があります。例えば、これまで紙の点呼簿からエクセルの出勤簿へ手動入力を行っていた事業者様は、「TUMIXコンプラ」によって事務工数が大きく削減できました。

 

また、システム導入当時の取材では業務の時間削減効果を27時間と想定していましたが、運用が最適化されたことによってその倍以上の効果が見込まれています。

 

導入事例:2024年問題対策は「リアルタイム管理から」

 

まとめ

働き方改革関連法案や改善基準告示の改正は、ドライバーの労働環境改善を目的としたものです。しかしその一方で、さらなる人手不足や、サービス残業の横行、管理職の負担増加、さらには名ばかりの管理職を生み出すといった、新たな問題も起きるようになりました。

 

しかし、課題だけでなく、勤怠管理の厳格化を進めるきっかけにもなっているのも事実です。2024年問題を機に、自社の勤怠管理を見直し、ドライバーの労働環境改善と会社の業績向上の両立を目指しましょう。

 

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